M'ricyyyy

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ほら、どんよりとした曇り空。
嗚呼、あいつが来るんだな…―



 鋏
  \


ギシリ、床が軋む。
雨か、あいつがやってくる。

「よっす」

びしょびしょに雨に塗れて、傘もささずに

「毎回言ってるだろ、傘くらいさしてこい」
「いや、言ってねえだろ、タオル」
「はい」

越えてはならない線。踏み潰してにじりたい石灰の白線がいつも視界に描かれる。錯覚か妄想か、それは僕にだって解らない。

「んー、さんきゅ」

水分を含んだ白いタオルはずしりと僕の手にのしかかる。何トンかありそうな感覚がする。最もトンの域に達するものを手に乗せたことは無いけれど。

「…いーたん、寝てんのか?」
「………起きてるよ」
「今のはなんだその微妙な間は」
「黙れぜろりん」
「そんな雑魚キャラ風に呼ぶなよ…」

本当にどうしてしまったのか、自分に問いたいくらいだ。
零崎が近くにいるだけで、こんなに安心できて、でも何故か苛立ちも抑えられない。
衝動、白線を越えてしまいたい。
でも許されやしない、



「おうおう、折角遊びに来たのに客人ほったらかして考え事か?」
「お前何しに来たんだよ」
「何って、暇潰し?」
「聞くなよ」
「あ、今何時?」
「僕の体内時計は4時だと告げているよ」
「ん、じゃ俺帰るわ」
「ほんと何しに来たんだよ」

実際、早く帰ってほしかった。
越えてしまいそうな自分が酷く、醜く感じたから。

「あ、傘持ってけよ」
「いやいいよ」
「どうせ明日も来るんだろ、ほら」

もう塗れてほしくない。
例え雨だろうと、汚されたくはない

「悪ぃな」
「そう思うならちゃんともってこい」
「あぁ…次から気をつけるよ。じゃあな」
「ん」


別に、認めたくない訳じゃない。
でも事実
僕には手出しできないところにある。
触れ得ぬ存在だなんて、
「本当に、…」
鏡であれたことを嬉しく思うよ。





ギシギシと、
床は軋まなくなった。
もう帰ってしまっただろうか、雨はとっくに止んでいた。



end*




はい、曖昧☆彡(殴
ぐはっ( °∀)∴
えぇ、内の文章は曖昧が売りです←嫌だよ
だって、…書けないんですもの

なんかこれ続いちゃう感じです、
鋏、次は零←友版で。



2009/07/21

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